Parker Flyにはとてつもなく衝撃を受けました。
その設計はすべて新しかった、といってもいいと思います。
Parker Flyにはとてつもなく衝撃を受けました。
その設計はすべて新しかった、といってもいいと思います。
所有しているギター系の本より、トラスロッドについて書かれている所を一部抜粋
◯"Complete Guitar Repair by Hideo Kamimoto"1978発行 より p99~101
Rather than adding extra stiffness to the neck, the adjustable truss rod (with a couple of exceptions) operates by putting the neck under compression.
調整可能なトラスロッドは、ネックに余分な剛性を追加するのではなく、(一部の例外を除いて)ネックを圧縮することで機能します。
The wood in the neck above the truss rod (and this includes the fingerboard) must be stronger than the wood below.
トラスロッドの上部にあるネックの木材(フィンガーボードも含む)は、下部の木材よりも強靭である必要があります。
◯Guitar Graphic ギターグラフィック第2号 リットーミュージック 1994発行 p71,72
ヤマハ・ブルー・ジーンズ・カスタム開発者座談会より
鈴木:(1本ロッドで)調整できるかどうかをやってね、位置決めをしたんですけど、最初やったら、なんともならない(ネックが調整できない)わけですよ。
後藤:でしょう。普通はできないんです、これは。
鈴木:で、位置を変えたりしたんですよ。
後藤:一般のロッドだと、フェンダーのロッドのようにアーチ系に曲げざるを得ないんですよ。そうすると、ある程度ネックの厚みが必要になるんです。ところが、こんな薄いネックでやろうとすると、無理がかかるんです。へたをすれば割れちゃいますからね。それを現実に1本のロッドでやったわけですからね。
牧:あれは、最初はフェンダーのやつで・・・
内田:だから、フェンダーも特許があったんだよね、たしか。
牧:あれは曲がってたんだと思うんですよ。それでウチは曲げずに、深さをね、上の方とか下の方とか、そういう位置でやればできるんじゃないかっていうやり方で。
鈴木:ある程度、調整ができるようにね。
内田:まあね、なかなか難しかったね。
松島俊一:ですからね、かなり外側の、(つまりネック裏の〉ギリギリのところにロッドが入ってる(図2参照)。
◯Making an ARCHTOP GUITAR Robert Benedetto 1994発行 p79
A straight truss rod positioned approximately 1/8" from the back of the neck will work extremely well and, of course, the straight slot is easier to cut. I do, however, prefer a slightly bowed truss rod which I find offers more sensitivity for final adjustments.
ネックの後ろから約1/8インチ離れた位置に配置された直線状のトラスロッドは非常に効果的に機能し、もちろん、直線のスロットは切りやすいです。ただし、私はわずかに湾曲したトラスロッドを好みます。これにより、最終的な調整に対してより繊細さが得られると考えています。
◯フェンダー大名鑑1946~1970 著者:マーティン・ケリー/テリー・フォスター/ポール・ケリー 2012発行 Pヴァイン・ブックス
p38
メイプルは極めて頑丈で耐久性があり、スチール弦の非常に強い張力にも耐えられる硬材だ。当時はマホガニー材のネックにローズウッドまたはエボニーの指板を張るのが普通であり、レオのデザインは異例だった。また一般的なギターでは、ネックが強い張力に負けてねじれたり反ったりするのを防ぐため、ネックの中心に調整可能な金属製の棒が通されていたが、レオは自分の1ピース・メイプル・ネックにこのトラス・ロッドは不要だと信じていた。
p41
・・・、ディーラーやミュージシャンから「トラス・ロッドを付けた方がいい」という意見を受け取っていた。レオは最初、自分が作ったメイプルは丈夫だから内部から補強する必要はないと反論。ドンとレオは仲たがいしそうになるが、最後はレオが折れ、1950年10月からブロードキャスターの初期モデルを含むすべてのギターにトラス・ロッドを採用した。しかしレオは例によって伝統にとらわれない斬新な方法を考案している。トラス・ロッドをネック上部から差し入れ、ネック背面の中央の溝に埋め込んで、細いウォルナット材でふさいだのだ。その埋め込み跡は、ネック裏に濃い色のストライプ模様を描いたことから「スカンク・ストライプ」と呼ばれた。また「スカンク・ストライプ」のネックでは、ウォルナット材またはメイプル材の小さな栓(プラグ)をヘッド表面に付け、ロッドの挿入口をふさいだ。調整はネックがボディーに接続される部分の丸ナットを回して行った。ネックを外してナットを緩めるか締めるかすれば、演奏の妨げとなるネックのわずかな反りやねじれを直すことができたのである。
エレキギターのネックに仕込まれるトラスロッド。
トラスロッドは、プレイヤーの方はイジる事がほとんどなく、見えないところに仕込まれている事もあり、見過ごされがちなギターを構成する部品です。また、適正なネックの状態を維持する為にとても重要な部品です。
トラスロッドの話題を時々見かけると、トラスロッドの原理をわたしは理解しているだろうか?と疑問に思っては、トラスロッドの原理を理解しようと頭が働きはじめます。
エレキギターはもうすでに完成された楽器です。だから後発メーカーは完成されたギターをもとに先行メーカーの真似をしてギターを作ります。
そうすると、トラスロッドの原理を理解せずに正しく機能するトラスロッドを仕込む事ができます。
真似をする事でトラスロッドの仕組みは理解できるかもしれませんが、なぜそうなったのか、なぜそうしたのかの事の始まりと成り立ちまでは理解できません。
トラスロッドの原理を理解するには先人から学び、考察をする事が必要かと思います。
なぜ、わたしが原理を追求するかの理由は、独創的なギターを作るには構造の設計をする必要を感じるからです。表面的な設計ではなく、根本から問い直す設計をするには原理を知り理解する事が必要なんではと考えます。
話が逸れましたが、トラスロッドに戻して、トラスロッドの成り立ちを考えてみると、ある必要に迫られて、その解決方法を考える過程でトラスロッドが考案されたのだろう事が思いあたります。
まずギターを思い浮かべてみると、
ネックとボディがあって、ブリッジとナットに乗る形で弦が張ってあります。弦を張るとブリッジとナットの間に引っ張る力すなわち張力がかかります。
ちなみに、この張力は、エレキギターで25.5インチのスケール、10-46の太さのセット弦だとすると、46kgくらいの力がかかっています。
木で出来たギターにこれだけの力がかかると、ネックは弦に引っ張られて反ります。これが反り過ぎると弦高が上がり過ぎて弾きづらくなり、音程が悪くなったりします。
それを解消する為にはどうしたらよいか、つまり弦に引っ張られて反り過ぎるネックを適正な状態に保つにはどうしたらよいのか。これがトラスロッドが生まれた事の始まりでしょう。
「弦に引っ張られて反るネックを適正な状態に保つにはどうしたらいいか」
この課題について考えてみます。
適正な状態に保つネックを作るにはどうしたらいいか、考えられるのは、まず大きく2つあげられます。それは、
1:強度を上げる
2:張力とは逆の力をかける
の2つです。
1の強度を上げる方法を考えると、
・厚みを増やす
・硬い材を使う
・補強を入れる(マーチンに代表されるTバーロッド、スクエアロッド等、またカーボン等補強材)
・材の構成を工夫する(例:3層や5層のネック構成)
などが挙げられます。他にもあるかもしれません。
2の張力と逆の力をかける方法を考えると、
ネックの裏側へ引っ張る力をかけられればいい。となり、
これを実際にやるには…と考えられたのがトラスロッドなのでは??
とわたしは思います。
ネックの中に、それもネックの裏側近くに一本の棒を入れて、両端を留めて、ネジで締め込むと、棒には引張の力が働き、ネックの両端が留まっているのでネックの裏側には圧縮の力がかかる。すると弦の張力とは逆の向きの力が発生する。
これがトラスロッドの元々の考え方、つまりは「トラスロッドの原理」なのではないかとわたしは思います。
ーーーーーーーーーーーーーおまけーーーーーーーーーーーーー
トラスロッドの事を考える上で、トラスロッドという名称の意味も考えてみました。
truss rodのtrussとは、辞書で引くと「縛る・結ぶ・締める・締めくくる」と出てきました。
rodは棒ですね、締める棒という事で、truss rod、トラスロッドなのでしょう。
trussから、トラス構造を想起するので、トラス構造とのつながりも考えてもみましたが、あまり繋がってきませんでした。
しかし、ギターのネックの構造は片持ち梁として計算ができそうですので、トラスロッドは構造力学の知識を利用して考えられたのかもなどと想像したりもしました。
トラスロッドついて調べると必ず出てくるのが、最初のトラスロッドの特許の事、
最初のトラスロッド特許は、1921年にギブソン社の従業員であるタデウス・マックヒューによって申請されています。また「トラスロッド」というアイデアは1908年に特許として登場しています。
フェンダーのネックには湾曲したトラスロッドが入っています。
この湾曲したトラスロッドになった理由についても、疑問が残ります。
最近、B.B.KingのLucilleのイントロのギターを練習していました。
それで、B.B.Kingに興味が湧いて来ました。
いままで私は、それほどB.B.Kingを聴いてなかったので、古いモノも聴いてみると、ゴスペル?と最初思いました。
B.B.Kingの印象というと、ギター雑誌の影響で3大キングで、独自のチョーキングとビブラートという先入観が頭から離れません。だからか、あまりB.B.Kingを聴こうと思わなかった。
けれど、実際コピーしてみようと弾いてみると、全然できなくて、しかも、独自のフレーズがとても気持ち良い。同じように弾いてみたいなぁとやってもまず同じにはならない。
やっぱりB.B.King凄いんだなぁと、雑誌の言葉だけで知っている気になっていた自分の浅はかさを恥じました。
そんなで、B.B.Kingのことを調べていると自伝が出ていたので中古本を探して買ってみました。
BB Kingの自伝で最初の一文から私はすっかり共感してしまったので、引用します。
私は言葉というものが苦手だ。一度だって、思い通りに自分の考えを表に出せた試しがない。
そしてこう続きます。
心が口と格闘し、思いは喉にひっかかってしまう。時には何秒も、いや何分もひっかかったままになっている。何年もそのままになっている思いもあるし、今までずっと隠したままの思いもある。
まだ読み途中ですが、本人が語る言葉や身に起きた出来事はリアリティが違うなぁと思います。
時代背景や、ブルースの捉え方、B.B.King本人の心の中、いろいろ興味深すぎてとてもおもしろいです。
各種SNS等、ネットでギター動画を上げている人がいますが、ここ最近みた動画の演奏に現実味を感じないモノがあって、もしかして当て振り?(音源は別撮りで弾いているフリ)をしているのかなぁと思いました。それで、SNSでギター動画を上げている人はどういうふうに音を撮って動画にしているのかなぁと興味をもって観察していると、やはり当て振りで動画をつくっている人がいました。すごい時代だなぁと思います。当て振りってテレビの音楽番組くらいでしかしていないのかなぁとか思ってましたが、けっこう皆さん普通にやっているようです。これでなんかスッキリしました。音はきれいでいい感じの動画でも、リアリティーのない演奏動画の正体が少しわかりました。
いま製作中のギターはネックはラッカー、ボディはウレタンで塗装している。店頭に置く事、耐久性を考えるとウレタンの方が安心できるから、ボディはウレタン。ネックに関しては面積が小さく補修が容易に出来る事からラッカー。音楽的な質感を重視するならば、ラッカーの方がいい。今回はネックはラッカー、ボディはウレタンという事で、ハイブリッド塗装という言葉を思いついた。
わからないのですが、なんでフェンダーの伝統的なエレキギターの指板Rは7.25インチなんだろう。ギブソンレスポールは12インチだが、それはそれまでのアコギやフルアコの流れからかなと想像がつくけれどフェンダーは謎だ。まだエレキギターがそれほどメジャーでない時期でこれだけキツいRのギターはあったのだろうか。わたしの知る限りでは思い当たらない。アコギの指板Rは14〜16インチ。クラシックギターに関してはフラットな指板が当たり前。同じようにRのキツいモノで考えられるのはバイオリンやチェロのような擦弦楽器だろうか。フェンダーは、7.25インチのRをどのように決めたのだろうか。
仮説1
レオフェンダーは当初ネックにトラスロッドは必要ないと考えていたという。Rを大きくすることでより強度が得られる(平面より球面の方が強度が高い)と考えたとか。
わからん
人間工学を取り入れたデザインをすると行き着くところ、似たような形状になってしまうのではないかなぁと、久しぶりにボディーデザインをしていて思いました。ある程度弾きやすさは必要だけれどやりすぎないほうがいいのかもしれない。ギターの形状を考えていると、先人達がなぜあの形にしたのかを少し理解できたように思う事がある。エレキギターは自由度が高い。独自の形状を追求できるのがとてもおもしろいが、自由度が高いということは、それだけ洗練された形状にすることが難しいということでもある。弾きやすさと弾きにくさをいい塩梅にミックスしつつ美しいそんなギターを作りたいものです。
時々ストラトなどフェンダー系のギターで言われる鈴鳴りとはなんなのでしょう。鈴のようにシャラーンとしたトーンの事なのか、ベルのようなトーンと言うけれど、そのベルの音ってなんなのか。まぁ、定義の曖昧な言葉です。個人的にはシャラーンときらびやかなサウンドなのかなと思います。この間ストラトを一本組み上げたら、シャラーンと気持ちの良い高域が出てきました。とてもいい音で、生音でもそのシャラーンという音はありました。という事は組み上げた素材がよかったのでしょう。ラッカー塗装のボディーでやや軽めのアルダーボディーで、最終重量は3.5kg、重さももしかしたら一つの要因なのかと推測します。そしてやはりラッカー塗装なのかなぁなんて思ったりします。
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